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スパイラル式熱交換器・化学機械プラント 設計・製作 溶接をコア技術として、各種圧力容器を製作しております。

蒸留設備に用いられる熱交換器

概要

化学工業では反応物と未反応物の分離などの種々の目的で蒸留操作が多く用いられています。蒸留とは各々の成分の蒸気圧の差を利用して液体混合物を分離する操作であり、それに必要な付属熱交換器としては、塔底に設置されるリボイラーと塔頂に設置されるコンデンサーおよび、FEEDの温度をコントロールする原料予熱器があげられます。蒸留塔の安定した運転には、これらの熱交換器の適切な選定が重要であります。

従来、これらの熱交換器としては、その用途に合わせ種々の多管式熱交換器が用いられてきましたが、近年スパイラル式熱交換器がその特長を認識され、多く用いられるようになってきました。

スパイラル熱交換器

弊社の主力製品であるスパイラル式熱交換器は多管式熱交換器に比べ、容積効率が格段に優れており機器容積当たりの伝熱面積が多く、非常にコンパクトであります。このことは、今日まで多くのプラント建設において3つの大きなメリットをもたらしてきました。

(1)配管工事の節約

(2)据付工事の節約

(3)工場用地の節約

スパイラル式熱交換器は図1に示すように2枚の金属板をスパイラル状(渦巻状)に巻き付け、2つの流路を形成しています。多管式熱交換器は複数の伝熱管により多数の流路を形成していますが、スパイラル式熱交換器は単一の矩形流路なので熱交換の障害となる汚れはほとんど付着せず、高温、低温流体は完全向流で流せるので熱交換の推進力となる温度差を最も効率よく利用できるなど多くの特徴があります。 これらの特徴は蒸留塔に使用される原料予熱器、塔底リボイラー、塔頂コンデンサーに対して次の3つ大きなメリットをもたらします。

(1)制御の容易さ

(2)設置の容易さ

(3)設置面積の削減


図1.スパイラル式熱交換器

原料予熱器

FEEDを蒸留塔へ供給する原料予熱器は塔の運転状況に合わせ、供給温度を正確にコントロールする必要があり。FEED温度が供給段より低い場合、塔内でFEEDと塔低から上昇する蒸気が直接接触し、蒸気が凝縮しますので、その部分は蒸留塔として働かず単なる気/液接触熱交換器となり、塔効率は著しく悪化します。
一方、供給段より高い場合は供給されたFEEDはフラッシュ蒸発し、塔を上昇する蒸気の流れを乱し、蒸気/液体の偏流が発生しますので、低温の場合と同様に塔の効率を著しく悪化させます。

したがって、原料予熱器はFEEDを供給段の温度に合わせ、精度良くコントロールすることが必須条件となりますが、多管式熱交換器は流体保有容積が多く、コントロールのムダ時間(流体の流入してから流出するまでの時間)が長くなるので供給温度のコントロール精度は著しく悪くなります。スチ-ムを用いた場合、応答はそれほど悪化しませんが、熱媒などで加熱コントロールする場合はハンチングなどが発生し、事実上コントロールが不可能になる場合さえあります。

スパイラル式熱交換器KSH-1V型を図2に示します。

スパイラル式熱交換器は単一流路なので汚れが付着しにくく、さらに流路間隔/流路幅の選択が幅広く行えますので、多管式熱交換器の倍程度の伝熱効率を達成でき、さらに、伝熱推進力となる温度差が最大となる完全向流で流せ、容積効率(伝熱面積/機器容積)も倍程度あります。

したがって、スパイラル式熱交換器は多管式熱交換器に比べ、流体保有容積がはるかに少なくなり、コントロールのムダ時間が短くなるので、コントロール精度は著しく向上し、蒸留塔の原料予熱器として理想的な性質を備えています。

図2.スパイラル式熱交換器 KSH-1V型

塔底リボイラー

蒸留塔に使用されるリボイラーには多くの種類がありますが、いずれにしても蒸発側は気体、液体の2相が混在し、蒸発した気体の伝熱部からの抜き出しがリボイラーの性能に大きく影響します。

スパイラル式熱交換器のKSH-2V型には伝熱部の上下に空間が容易に設置できリボイラーとして理想的な性質を備えています。

図3は蒸留塔の塔底リボイラーとして用いたものであり、高真空下で稼働しています。高真空下での蒸留では常に蒸留圧力の平衡と蒸気密度におよぼす影響を考慮する必要があります。リボイラ-内の液深による沸点の上昇を避けるため伝熱部への液の供給は複数のスプレーノズルにより流下液膜を形成することにより行っています。また、蒸発蒸気の圧力損失を避けるため伝熱部中央に蒸発蒸気通路を設け、高真空下で(低温で)蒸発できるようになっています。

したがって、運転条件は高真空かつ低温となり、蒸留にとって最も重要な平衡条件は低沸成分/高沸成分の分離に適した条件が達成しております。(この方式は日本特許を認められています。)




図4はスパイラル式熱交換器KSH-2V型を常圧蒸留塔のリボイラーとして用いた場合です。

伝熱部では蒸発により流体は気液混相流となって上昇し、すみやかに蒸発気体を伝熱部から抜き出しています。中央部では円筒内(ダウンテーク)を液が降下し、液と伝熱部の気液混相流の比重差により液循環を行い高効率の蒸発伝熱が成し遂げられています。

図3,図4に示しますスパイラル式熱交換器をリボイラーに用いると蒸留塔の底部にはリボイラーの据付用地が不要となり大幅なコスト削減が可能となります。

図3.塔底リボイラー(真空)

図4.塔底リボイラー(常圧)

塔頂コンデンサー

FEEDが大量かつ平衡関係が分離しにくい処理物の時、蒸留塔は大口径かつ塔高も高くなります。このような塔に使用されるコンデンサ-は以下の処置が必要になりますが、建設コストがアップし期間が長くなるという問題が発生します。

(1)ストラクチャ-を建設し塔頂と同じレベルにコンデンサ-を設置する。

(2)コンデンサ-を塔の中程に設置し、塔頂からコンデンサ-まで大口径の蒸気用配管を設置する。

右図に示しますスパイラル式熱交換器、塔頂型KSH-T型は塔に直接取り付けるコンデンサ-であり、大口径のベ-パ-配管およびストラクチャ-は必然的に不要になります。

塔を上昇した蒸気は塔頂コンデンサ-中央に設けられたセンタ-パイプを通り上部チャンネルに導かれます。

ここで下方にタ-ンし、伝熱部に流入し、伝熱板表面で凝縮して下部チャンネルの凝縮液チャンバ-に集められ、コンデンサ-の外へ流出し、この一部はREFLUXとして塔に戻されます。冷却熱源としてはク-リングタワ-水などが用いられ、伝熱部外周部から流入し、スパイラル状の流路を流れ中央のセンタ-パイプのヘッダ-に導かれ、上部チャンネルのノズルより流出します。

したがって、塔頂までストラクチャ-を建設する必要がなくなり、しかも、塔の頂部への配管は、冷却水の流入/流出、コンデンセ-トの流出およびベ-パ-のベントのみとなり、いずれも小口径なので大幅なコストダウンが可能になります。

図5. 塔頂コンデンサ-

総括

化学工業における蒸留操作の熱交換器の比重はコスト、製品精度の両面でともに大きく、効率の良い熱交換器の選定はプラントの競争力を維持向上させるうえで重要であります。

図6に従来の蒸留塔、図7にスパイラル式熱交換器を用いた蒸留塔を示します。

スパイラル式熱交換器を用いた蒸留塔は従来の蒸留塔に比べ、外見上付属品のない一本の塔となり、ずいぶん”スッキリ”しています。
したがって、大口径蒸気配管、リボイラー/コンデンサーの据付用地が不要となり大幅なコスト削減が可能となります

図6.従来の蒸留塔

図7.スパイラル式熱交換器を用いた蒸留塔

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